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ミャンマーの主要産業の現状

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■概要
ミャンマーは,長く続いていたアメリカからの経済制裁が2011年に緩和され、「ラストフロンティア」と呼ばれるほど各国が進出へ向けて動き始めました。2015年にはアウン・サン・スーチー率いる国民民主連盟が過半数の票を獲得し、民主化へと進みました。
民主化の流れを受け、2016年の10月には軍事政権に対するアメリカからの経済制裁が解除され、アメリカ企業も進出をスタートしました。

 ミャンマー経済は、2012年から2015年のまでの4年間、7%を超える高い成長率を維持しています。2016年は6.3%と伸び率では落ちたとはいえ、2017年の6月現在も同様に7%台の成長率を維持しており、2018年以降も8~10%台の成長が続くと言われています。2017年以降もGDPも、一人当たりのGDPどちらも8~10%の水準で上昇していくと予測されています。
 

上述のように、目まぐるしい経済成長を遂げている一方で、課題もあります。
財政赤字と貿易赤字の拡大が続いていることが問題となっており、今後は国内産業の国際競争力向上を如何に行うかが急務となっています。

ミャンマーのGDPの内、全体の約3割が地方部による農林水産業によるものです。
驚くことに、国民の6割超が農業従事者であり、主要産業における生産性の低さが際立っています。GDPに目を向けると、2016年は660億ドル、世界72位を記録しています。その一方で、一人当たりのGDPは1269.27ドルで153位という結果は、そのまま農業の生産性の低さを反映していると言えます。

現在のミャンマー経済は、農林水産業とエネルギー産業に偏っており、輸出品も原材料がほとんどです。

ミャンマーは、中国・インド・他の ASEAN 諸国などと比べて最も低価格な人件費であり、3500 万人以上の生産年齢人口を抱えています。
今後は残りの7割のGDPと、4割の人口において、製造業の育成を強化し、輸出や雇用の拡大に務めることが競争力を伸ばすことにつながります。

以下は、ミャンマー国内において、今後市場の発展が見込まれる産業です。 

1、自動車産業 
まだまだ都市部が中心ではありますが、中古車の普及が加速しており、内需と輸出の観点から自動車生産拠点が今後必要になると考えられます。
しかし自動車の生産拠点を持つ基本的な考え方として、年間数十万台近い国内販売需要が必要と言われています。ミャンマー国ないはまだ内需を満たす状況ではなく、今後の実現に向けては政府の支援も必要になる可能性があります。 


2、二輪車産業
 GDP1000ドルを超えると、モータリゼーションの始まる目安と考えられています。
2015年の登録台数で360万台、実に約1000人に一人が持っている計算となります。今後より需要が増えていけば、輸入販売から国内生産への切り替えも考えられます。

ヤンゴンやマンダレーといった都市部では、商業ビルや高層マンションなどの開発が進んでいることに加え、鉄橋や道路、鉄道などのインフラ整備にも必要不可欠です。
具体的な品目としては,木材、セメント、粘土、金属、プラスチックなど構造用材や内装設備にかかせない原料です。
セメントを例に挙げると、2012年の需要量は400万トン程度ですが、供給拠点は国内に15箇所ほどであり、設備的にも今後の伸びに対応が出来ていかないと思われます。

 4、加工食品産業 
ミャンマーより以前に、経済成長を遂げてきたベトナムやタイといった国を見ると、乳製品や、飲料関係、菓子、調味料、インスタント食品などの加工食品は需要が多く伸びています。
一般大衆が購入する商品であり、輸入ではなく国内生産により価格を抑える必要がある分野のため、今後の製造所進出は伸びていくことが考えられます。


 5、日用品 
国民所得の増加は、衛生意識の改善につながるため、シャンプーや石鹸といった日曜衛生品の需要が高まると予測されます。 



6、繊維産業 
ミャンマー縫製事業主組合によると、衣料品 の輸出額は、2013 年度は 10 億米ドル、2014 年度は 13 億米ドルを達成し、2015年は16億5000万米ドルと大幅に伸びています。アメリカ向け、日本向けが主だった輸出先ですが、2016年にはヨーロッパが日本を抜いて第2位の輸出相手国となりました。タイやベトナムの人件費の高騰を受けて、今後より多くの繊維工場がミャンマーへと移転してくる可能性があります。
 


7、鉄鋼業
 インフラ設備を整える上で、鉄鋼の需要は急激に高まっています。ミャンマー国内の鉄鋼生産量は年間3万トン程度と言われており、これはベトナムやタイが400万トン以上の生産量と比較すれば、まだまだ発展の見込みがあります。生産量の低い要因には電力供給が安定していないこともあり、今後電力インフラが整うことで大手資本の参入も考えられます。


 8、農薬・肥料 
ミャンマーの農業における生産性の低さは、農薬や肥料の品質の低さが原因の一つしてあげられており、農薬や肥料の過剰使用をやめ、品質の良い商品生産をすることで、対外輸出額は大幅に伸びると予測されています。


 9、石油精製・石油化学産業  
ミャンマーでは今まで、石油の小売市場へは自国企業しか参入させていませんでした
しかし2017年の6月、シンガポールPUMAエナジーに小売市場参入を許可しました。
これは、世界全体の石油価格下落の中で、質が高く安い石油製品を消費者に提供しようとする動きがあります。ミャンマーには大型の石油プラントなどがなく、設備の老朽化などから新規の製油プラント建設や石油産業の発達が必要です。 


 最後に
冒頭でも触れたように、今後もミャンマーの経済成長は続いていくものと考えられます。 経済成長とは裏腹に、長く続いていた軍事政権で、各国からの支援を受けられなかった影響で、インフラの整備が遅れていることや、電力の不足が各国の進出に妨げとなっていることは事実です。日本の3つの商社とミャンマー政府、ミャンマー国営企業が出資して完成したティラワの工業団地などが開発されましたが、電力不足を嫌う半導体や機械部品メーカーなどの誘致が進んでいないという問題もあります。また、ミャンマーで暮らす人々の生活にも影響があるため、早急な対応を求められています。

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