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飲食店がタイ進出する際に知っておきたい10のこと~NO.2~

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職種: 専門・技術サービス業
今回は、アジアの中でも比較的進出しやすいと思われる「タイ」への飲食店進出について知っておきたいことの3項目目をご紹介いたします。


※ここでの情報は法律や現地で僕が得た情報、実際に経験した内容などを基に記載しております。皆さまが今後タイで出店する際に少しでも有益な情報となればと思っております。*尚、本記事は2017年5月現在での情報となります。タイの法律や政治、採用状況等については日々変化しておりますので、具体的に進出が決まりましたら必ず最新情報を入手してください。また、本記事に誤りがある場合にはすぐに修正いたしますので、お手数ですが私、須見までご一報ください。


3 業態(出店方法・場所)
大筋でタイのイメージが掴めてきたら、具体的なプランへと移ります。つまり『業種』、『業態』の決定です。『業種』については、あまりアドバイスを求められることもないですし、既に決まっている方、企業が多いのでここでは省きたいと思います。ただ、タイ人の国民性の1つに熱しやすく冷めやすい傾向があるのは調査データからも明らかなので、これからお話しするどのような『業態』にするのかによっては『業種』選びも大きなポイントとなることは間違いありません。
さて、『業態』の中でも今回は『店舗展開方法』と『場所』に絞ってお話しさせていただきます。理由はこの2つがタイでの飲食店出店の重要なポイントになっていると思うからです。この2つは相関関係にあると思いますので、1つに焦点を当てていくと自ずともう一方も見えてきます。
まずは店舗展開方法についてです。自社展開(その後、状況に応じてフランチャイズ検討含む)またはフランチャイズ展開をするパターンがあります。共に会社設立時、基本的に51%以上はタイ資本での設立となります。最初からフランチャイズ展開する場合はタイ飲食関連企業と合弁会社を設立し店舗展開することが一般的です。タイの飲食関連企業の代表例としてはFujiグループ、セントラルレストラングループ、MKレストラングループ、S&Pグループなどが挙げられます。この際にできれば上記のような大手飲食関連企業と手を組みたいものです。中小企業または大手でも飲食やサービス事業を持っていない企業ですと、流通販売網構築や出店場所の確保、どのような商品が売れるのかなどのデータを一から収集しなくてはならないからです。逆を言えば、日本の我々からしたらこれがほしいわけです。タイにおいては日本のデータが使えませんので、ゼロベースで考える必要があります。「日本のクオリティ、商品構成そのままに売れば大丈夫だ」ということでいざお店をオープンしてみたら全然予想通りにいかず、これでもかこれでもかと新商品を投入し、最終的には何屋さんかわからなくなってしまうなんてケースもあります。これで利益が出ていれば問題ないのですが、当然赤字解消にはならず、場当たり的な対応で傷口を広げる結果となりますのでご注意ください。
また、もし大手飲食関連企業と組める場合でも出店場所や家賃などの固定コストには敏感になってください。当然ながらショッピングモールなどの商業施設に出店する場合は家賃が高くなります。契約内容によっては、1店舗目は小さく路面店で勝負するのも有効な手段です。
フランチャイズではなく、自社で出店する場合は小規模スタートをお勧めします。中心地でも場所によっては安く借りられる物件が稀にあります。そこで成功したら多店舗展開というイメージです。九州を中心にうどん、焼肉、そば、中華、ステーキハウスなどのチェーン店を200店舗以上展開されている飲食企業、株式会社ウエストのタイ法人Kawano West Co., Ltd.もこの方法で成功されています。タイ現地代表の方からお話を伺う機会がありましたが、物件も実際にご自身で探されたということで大変参考になります。Kawano Westは現在バンコク中心地にそば居酒屋『生そば あずま』2店舗、異業態の『焼肉 あずま』を1店舗運営しており、2017年中に更に2店舗オープン予定です。

先ほどタイなら「まずはバンコク」でと言いましたが、バンコクと言っても結構広く、日本人が俗にいうバンコクとはスクンビットエリア、シーロムエリア、サトーンエリアまたはその周辺となります。

ただ、この地域は既に様々な業種の日本食料理店が出店しておりレッドオーシャンです。

また、二極化が進んできている印象です。QSCすべてにおいてレベルの高いものを提供する高価格帯の業態と、価格は抑えてできるだけおいしく提供する低価格帯の業態です。以前はこの低価格帯業態でも“日本食=高い”ということでローカル1食分の2倍も3倍もする価格が一般的でしたが、非常に競争が激しく、低価格化が進んでいます。逆にクオリティは向上しています。価格は下がるが品質は求められる環境となってきました。私は在タイ5年となりますが、そのスピード感には驚いています。
それでも「日本と同じことをやればバンコクでも勝てる」と言われる方がおります。それは、その通りなのです。確かに日本と同じことをやれば、確かに勝てると思います。
しかし、それができないのです。

なぜならここは日本ではないからです。僕がいつも「このクオリティをこの値段で出せるのか」と驚かせてもらっているお店があります。Fujiグループが運営している『寿し築地』です。歓楽街のタニヤ通りに面したお店で、Fujiグループは1970年にこの『寿し築地』をスタートさせたのが始まりです。ランチの寿司セットが300バーツ前後(約1,000円)で食べることができます。サービスも含めてこれを高いと感じるか安いと感じるか、自分の感覚を確認するのに大変参考になるお店だと思いますので、まだの方はぜひ訪問してみてください。

その他、スクンビットのソイ23にある『みつもり』も参考になるお店です。『みつもり』は今やタイのショッピングモールではどこでも見かける『大戸屋』の実質創業者である故三森久実氏が手がけたお店としても有名です。
場所について先程バンコク中心地はレッドオーシャンということでお伝えしました。業態によっては、バンコク郊外や地方など別の地域からスタートするのも1つの手です。プーケットなどは世界中から観光客が来ますが、意外に日本食レストランが少なかったりもします。僕個人的には人口がタイで2番目に多いコラートは今後益々開発が進み、人々の所得も増えていくと予想され出店場所としては狙い目だと思っています。JROによると2015年の日本食レストラン新規開店数はバンコク303店舗、地方211店舗で合計514店舗、逆に閉店数はバンコク167店舗、地方104店舗で合計271店舗です。バンコクの閉店数の増加と地方の新規開店数の増加がポイントです。



次回は、
4. 会社設立
5. 物件、デザイン、内装施工
についてまとめてみたいと思います。

参考
日本貿易振興機構(ジェトロ)
https://www.jetro.go.jp/
日本フランチャイズチェーン協会
http://fc-g.jfa-fc.or.jp/

タイ労働省
http://www.mol.go.th/
在タイ日本国大使館
http://www.th.emb-japan.go.jp/

タイ商務省
http://www.dbd.go.th

日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)
http://jronet.org/

海外運輸協力協会(JTCA)
http://jtca.info/

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