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スリランカの会社法〜設立できる会社の種類と具体的な手続きの流れ〜

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職種: 専門・技術サービス業
1.設立できる会社の種類 
スリランカ会社法では、大きく分けてスリランカでは現地法人、支店・支社、オフショア会社の3つを設立することができます。  

 ●現地法人 
 会社設立にあたって最も一般的な方法で、株式公開会社と株式非公開会社があります。

 株式公開会社は株式公開が前提となっており、スリランカ証券取引所を通じて株式の募集を行います。
一般投資家も閲覧可能な財務諸表を会社登記局に提出する必要があります。

 一方で株式非公開会社は閉鎖的な会社組織として想定されているため、一般投資家への株式の販売や株式譲渡は認められていません。
株主数、最低取締役数も株式公開会社より少なくなっています。(表では株主数は2名以上となっていますが、1名での設立が可能な場合もあります。) 

公開会社と非公開会社の違いについては以下のようにまとめることができます。



・取締役
取締役については、国籍や居住地について会社法で明文化されていません。
スリランカに居住していない外国人であっても取締役になることができます。
・秘書役
日本の会社法上は存在しない役職ですが、イギリスなど諸外国では設置が義務付けられています。
会社法上必要な文書や記録の作成および保存を担当します。
・監査役
会社が作成する財務諸表の監査を行い、監査報告書を作成する役職です。
会社法において、監査人はスリランカ勅許会計士協会(Chartered Accountants of Sri Lanka)のメンバーであるか、登録監査人(registered auditor)でなければならない旨が定められています。(公開株式会社の場合はスリランカ勅許会計士協会に加入する勅許会計士。)
また、会社のパートナーや構成員、会社の清算人・管財人、法人、および、関連会社において以上にあたる者、過去2年以内に以上にあたる立場にあった者監査役として認められません。                                        

後述するように現地法人を設立するにあたって必要な手続きは比較的容易なのですが、設立に必要な秘書役・監査役の人材を探すのが非常に難しいため、実質的に自力での法人設立は困難です。 


●支店
現地法人同様、スリランカ国内で事業活動を行うことができます。
ただし、支店は現地法人のように親会社から独立した存在ではないので、債務不履行に陥った場合本店が債務全額を支払う必要があります。(現地法人の場合親会社は一株主なので、出資額を限度とした有限責任を負うことになります。)

逆に、利益についても親会社と合算になるため、支店の赤字は親会社の利益から控除することになります。
つまり、親会社に課される法人税が減額され、節税につながります。

支店については設置にあたり特別の要件がありませんので、会社登記局へ申請を行い、許可を得た後、必要に応じて関係省庁からライセンスを取得すれば設立できます。


 ●オフショア会社
オフショア会社とは、一般的に、会社を設立した国内で事業活動を行わず、代わりに外国関連会社の管理を行う会社です。
スリランカは外国資本による投資受け入れに積極的なので、オフショア会社を設立することで税制や外資優遇政策によって得られる恩恵を最大限活用することができます。
その代わり、現地法人や支店とは違い、スリランカで事業活動を行うことはできません。 


 2.会社設立手続き
●現地法人I
後述する多額の資本金とスリランカ投資庁(BOI)の承認が必要な現地法人ではなくとも、実質「1円」から会社設立が可能です。
中小企業や個人が事業をはじめるにあたりまず検討すべき会社設立の形態です。
取締役、監査人、秘書役の選定が必要となりますが、BOIへの申請の必要はなく、必要書類と各人員、事業内容の選定を行い、会社登記局に申請します。
不備がなければ通常2-3週間で登記が完了し、その後各種銀行口座を開設することで事業活動が可能となります。

必要な書類を揃えることができれば比較的時間を要せず会社設立が可能です。
ただし、事業内容によっては外資の出資比率に制限がある、秘書役の選定はスリランカ人の有資格者を選定しなければならないなど、細かな確認と的確な判断が必要なため、実質的に自力で手続きを進めることは困難といえます。

●現地法人Ⅱ(各種手数料、手続きはは適宜変更の可能性あり)
①BOIへの申請
事業内容が外資規制の対象となる場合、また法人税減税などの優遇措置の対象となる場合はスリランカ投資庁(BOI)への投資申請が必要です。
申請に伴って、以下の手数料が必要になります。
・BOI法第17条に基づく子会社の場合
申請処理手数料として200ドル、契約処理手数料として1,550ドル(戦略開発プロジェクトの場合は3,000ドル)、補足契約料拡張の場合520ドル、その他の場合25ドル、これに加え業種によって異なる年間手数料が必要です。
・BOI法第16条に基づく子会社の場合
申請処理手数料として200ドル、定款審査費用55ドル、年間手数料300ドルが必要です。

認可を受けたらBOIが発行した認可書を会社設立申請書と併せ、会社登記局に提出します。(次項目) 

②商号登録
登記局のウェブサイトで既に同じ商号が登録されていないかを確認し、社名申請を行います。

 ③会社登記局での登録
株主の氏名・住所・職業、取締役の氏名・住所・職業、登記上の事務所住所を明記した定款、会社法遵守の宣言書、取締役就任に関する同意書、取締役・秘書役・共同秘書役の一覧表を提出し、会社登記局から会社設立証明書の発行を受けます。
この際有限会社の場合60万ルピー、上場企業の場合50万ルピー、その他企業の場合10万ルピーの手数料が必要です。 

●支店(各種手数料、手続きはは適宜変更の可能性あり)
会社登記局へ必要書類を提出します。
会社設立と定款、綱領についての認証謄本や国内で行なっている事業内容を明記した取締役会決議案の認証謄本が必要なのですが、この「認証」とはそれぞれの書類が以下の方法で真正な謄本であると証明されることを意味します。 
「・書類の原本を管理する当該国政府職員による認証
・当該国の公証人による承認
・当該国で宣誓を執り行う権限を有する者の面前で行う、外国企業の取締役による承認
・当該国の政府職員による署名・印鑑、当該国の公証人の署名
・印鑑、または当該国で宣誓を執り行う権限を持つ者の署名・印鑑。これらの署名・印鑑は、当該国に設置されたスリランカ大使館の職員により認証される。(当該国にスリランカの大使館が存在しない場合、当該国に所在するスリランカの通商代表部またはスリランカ政府代表部により認証を受ける。これも不可能な場合、当該国の司法当局の職員により認証を受ける)。」
(日本貿易振興機関(ジェトロ)「外国企業の会社設立手続き・必要書類」(https://www.jetro.go.jp/world/asia/lk/invest_09.html)より引用)

 会社登記局は財務省、通商・消費者問題担当相の承認書を受け取ったのち、登録証明書を発行します。

 ●オフショア会社(各種手数料、手続きはは適宜変更の可能性あり)
会社登記局へ必要書類を提出します。
オフショア会社を開設するにあたり、スリランカ国内銀行に7万ドルを入金する必要があります。 
 また、登録は毎年更新があり、更新毎に10万ルピーがかかります。    

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