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2017.11.09  日刊工業新聞(2年前)

事業承継問題放置でGDP22兆円損失−中小企業庁試算

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職種: 専門・技術サービス業

7年ほど前、クイーンズランド日本商工会議所のビジネスミッションを日本へ連れて行った際、川崎市の工業団地を訪れました。そして、何社かを見せて頂き、事業主とお話しをした際に、後継者がいないので、何年か先には廃業せざるを得ないという実情を聞きましたが、今の段階で、中小企業の事業継承問題がこんなに深刻になっているとは、驚きでもあり、残念でもあります。
日本は資源に恵まれない小さな国土に働き者の多くの国民が住んでいる国です。アメリカに次ぐ世界第2の先進国になった一つの理由はものづくりに長けた国であったからだと言うことを聞いた覚えもあります。
日本人や日本の企業がゴールドコーストをはじめとするオーストラリアに興味を持ち、投資進出をして来た約30年ほど前、こちらで開かれた国際会議で、日本からの講演者が、その国が栄えるかどうかは、地下にどれだけの資源を持っているかではなく、首の上に載っている物の質によるという発言をし、The Australianという全国紙に取り上げられていました。私は、その時まさしく、その通りだと思った記憶があります。
終戦後、焼け野原の中から立ち上がり、一生懸命に築き上げた会社や生み出した技術が後継者がいないということで、簡単に無くなってしまうのは、残念でもあり、悔しいものでもあります。
日本の国内で色々な解決策が考案されているようですが、この際、国外へも目を移し、解決策をはかってはどうでしょうか。羽衣チョークで有名な羽衣文具会社が2015年に、後継者の不在その他の理由で廃業になりましたが、韓国に製造機械が移っており、その韓国の会社はアジア各国に輸出をするとのこと。
日本人や日本の会社は、とかく、アジアが距離的にも近く、同じ東洋東南アジア人ということから、接近しやすいという感がありますが、日本オーストラリア経済連携協定も交わされ、2017年は日豪通称協定締結の60周年でもあり、両国間にwin-winとなる、将来に向けての方向付けをしてはどうでしょうか。
何年か前に、飛行機のトイレを作るのは日本の会社が世界的に圧倒的なシェアも持っているというテレビ番組を見たことも記憶にあります。その他にも、多くの素晴らしい技術を持つ中小企業がたくさんあり、後継者がいないために、廃業に追い詰められるのを、オーストラリア人や会社がパートナーになるなり、あるいは買取るなり、両者に最善の策を生み出すことができるのではと思います。
日本の方でゴールドコーストに住居を持ち、日本の気候の悪い時はこちらで過ごされるという悠々自適の御夫婦などにもお会いしますが、完全に定年退職してしまうのではなく、パートナーとの取り決めで、多少は会社にも関係を残すなど、それぞれの事情に合わせた解決策があると思います。
また、オーストラリアは現在中国人や中国の会社が進出して来ており、将来性のある会社への投資や買収ということには興味を示すと考えられます。中国人は、多少経済力のある場合、空気の悪い国内で子供を育てるのではなく、英語力をつけられるオーストラリアで子供を教育し、同時に将来のビジネスの機会があれば投資をするというケースが少なくありません。
日本の中だけで、行き詰るのではなく、もっと広い範囲に目を向けて、将来を考えられてはどうでしょうか。