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今年11月施行。外国人技能実習「新制度」で何が変わるのか?

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職種: 専門・技術サービス業

外国人技能実習制度の光と闇



開発途上国の労働者に日本での技能習得のための滞在(最長3年間)を認め、人材開発・技術移転による国際協力を目的とする外国人技能実習制度。
1993年施行の「外国人研修制度」を前身とするこの仕組みは、日本に在留して働くための数少ない方法として注目され、20年以上にわたって運用されてきました。
しかし、この制度の本当の目的は必ずしも理解されてきたとは言い難く、国内外に存在する悪徳な業者による技能実習生の搾取が問題となっています。

そこで厚生労働省はこの制度の見直しを進め、
20161128日、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が交付されました。
この法律は20171111日から施行予定となっており、技能実習制度開始以来指摘されてきた様々な問題が改善される見通しです。

本記事では、
11月から始まる外国人技能実習の新制度についてご紹介します。
新制度では大きく分けて①技能実習の適正な実施、②技能実習生の保護、③制度の拡充を目的とした変更が行われていますので、以下では各項目について、具体的な変更点を確認していきます。




技能実習の適正な実施

これまで、技能実習生を受け入れる監理団体が十分に機能しない場合が多く、実習生を受け入れる実習先施設とともにその責任や義務が明確でなかったことから、多くの問題が生じてきました
そこで、まず技能実習法に基づき監理団体の許可・実習実施者届出の受理・個々の技能実習計画の認定を行う外国人技能実習機構(認可法人)が設立されました
これによって過去に不正があった悪質な監理団体を審査によって除外することができるようになりました。

技能実習生の保護

一部の悪徳監理団体や実習実施者の下では、労働法を無視した低賃金長時間労働やパスポートの取り上げ、賃金からの不当な控除など人権侵害にあたるような深刻な実習生搾取が行われていました。
また、海外からの送り出し機関が本来は必要ない高額な保証金を請求したり(これによって実習生は高額な借金を背負うことになる。これにより容易に大金を得られる犯罪に走る、返済できずに失踪するなどのケースが考えられる。)、不当な扱いを受けても実習生が相談するための窓口がなかったりと、安心して実習を受けられる環境が整っているとは言い難い状況でした。
そこで、新制度においては、人権侵害等に対する罰則の整備・強化や、実習生送り出し国との協力による悪徳送り出し機関の排除、不正の通報・深刻窓口の開設など、旧制度では不十分だった技能実習生を保護するための様々な仕組みが作られることになりました。

制度の拡充
悪徳な団体を排除するとともに、優良な監理団体・実習実施者(法令違反がないことに加え、技能実習法で定められている基準を満たす団体)については制度の拡充を認めることになりました。
具体的には優良な団体に対し、実習機関を3年から最大5年に延長すること(3年が経過した後、一旦帰国が必要)、受け入れ人数を従業員数に応じて倍増することを認めています。

また、介護や農産物加工など、新たな職種について実習生の受入れが可能になりました。
特に介護については今後急速な高齢化が懸念されるASEAN諸国での注目度が高く、日本でも若い人材が不足していることから今後技能実習生派遣国と日本の間で結びつきが強まっていくことが考えられます。

新制度に期待されるもの
外国人技能実習制度は「人づくり」を目的としていたはずが、人手不足の業界で実習生を「利用」する構図を作り出してしまいました。
受け入れる側が必ずしも国際貢献の意識を持っているとは限りませんが、国際社会から非難されているような現状は改善する必要があります。

長い目で見れば技能実習生の受入は日本と派遣国の関係を強化することになり、労働力不足が深刻化する日本を救うことにもつながるかもしれません。
11月以降は新制度の施行とともに、状況が大きく変わることが期待されます。

参考:
外国人技能実習機構HP(http://www.otit.go.jp/)
厚生労働省「外国人技能実習」ページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/global_cooperation/index.html
法務省入国管理局 厚生労働省人材開発統括官 「新たな外国人技能実習制度について」(http://www.jitco.or.jp/system/data/info_kanri_01.pdf

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